テルプラグは、抗原性の少ないアテロコラーゲンを原材料とした組織再構築型の抜歯創用保護材です。抜歯等により粘膜(歯肉)が欠損し、歯槽骨が露出した抜歯創に本品を充填することにより、止血、迷入防止等の創面保護および肉芽形成を促します。また、創面保護効果により疼痛を緩和します。
① 抜歯します。
② 抜歯創の歯肉や肉芽を掻把し、骨面を露出させます。また、出血の多い場合には、ガーゼ等で血液を充分に拭います。
②-1 必要に応じて、抜歯創に入り込んだ歯肉を搔き出します。
②-2 出血が少ない場合治癒し辛くなることから、必要に応じて、抜歯創の骨表面をドリル等で切削することがあります。
③ テルプラグを充填します。充填時は過度な圧迫は行わず、ガーゼ等でテルプラグを軽く押さえて創面に充分密着させます。
④ 充填後、テルプラグを過度に圧迫しないように縫合を行い安定させます。
① 骨面が露出した抜歯創にテルプラグを充填します。
② テルプラグが血液を吸収し、抜歯創上部で血餅を形成し肉芽形成を促進します。
③ テルプラグ内に周囲の細胞や血管が侵入し、上皮が伸展していきます。
④ 歯槽骨の吸収を防止し、歯ぐきの陥凹が防止できるようにに肉芽形成を促します。
テルプラグfitは、充填しやすいテーパー形状で、大臼歯抜歯窩上部で少し大きめサイズとなるように設計さ れています。大臼歯抜歯窩上部で密着固定されるため、血餅形成が維持されやすくなりました。また、中隔のある大臼歯抜歯窩においても、適度な高さに設計されているため、抜歯窩上部で安定させやすくなっています。
大臼歯抜歯窩に挿入しやすいテーパー形状を付与しています。
大臼歯抜歯窩上部で密着固定されるため、血餅形成が維持されやすくなっています。
中隔のある大臼歯抜歯窩においても抜歯窩上部で安定しやすい設計になっています。
コラーゲンは動物の皮や腱や骨に最も多量に含まれるタンパク質であり、下図のような細長い棒状の3重らせん構造の両端にテロペプチドと呼ばれる構造を持っています。テロペプチド部分は、動物種により特有の構造を持つため抗原性が高いといわれています。
コラーゲンの形態は、動物の皮や腱からの抽出方法により変化します。ある条件でコラーゲンを抽出すると、たくさんのコラーゲン同士が規則正しく凝集・結合した不溶性コラーゲン(下図a)と呼ばれる線維状のコラーゲンが得られます。不溶性コラーゲンはテロペプチド部分に生じた架橋によりコラーゲン同士が強く結合し、皮や腱に存在する本来の形態を保っています。不溶性コラーゲンをペプシンなどの酵素で処理すると、テロペプチド部分を分解・除去することができます。
こうしてできたテロペプチドがないコラーゲンは、アテロコラーゲン(下図b)と呼ばれています。アテロコラーゲンはテロペプチド部分を持たないため、抗原性が低いといわれています。
アテロコラーゲンは、大変ユニークな性質を持ちます。例えば、アテロコラーゲンを水中で加熱すると、熱変性を起こし3重らせん構造が崩れます。これは熱変性アテロコラーゲン(下図c)と呼ばれています。一方、生体内と同じ中性、37℃の条件下では、アテロコラーゲン同士が規則正しく凝集して、もとの不溶性コラーゲンのような線維状となります。これは線維化アテロコラーゲン(下図d)と呼ばれています。テルダーミス真皮欠損用グラフトのコラーゲン層は、線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲンを混合して作っています。
下表は、アテロコラーゲン、熱変性アテロコラーゲン及び線維化アテロコラーゲンをそれぞれスポンジ状に加工し、各種の特性をみた結果を示しています。
熱変性アテロコラーゲンは、機械的強度や、コラゲナーゼ耐性に乏しいですが、in vitro で線維芽細胞に対してスポンジ内への細胞侵入性や細胞自身の活動性を亢進させました。一方、線維化アテロコラーゲンは、細胞に対する反応はほとんど示しませんでしたが、機械的強度やコラゲナーゼ耐性に優れ、生体内での安定性に寄与することが示唆されました。そこで、線維化アテロコラーゲンに熱変性アテロコラーゲンを10%添加したスポンジを作製し、線維化アテロコラーゲンのみのスポンジと特性を比較してみたところ、機械的強度やコラゲナーゼ耐性は線維化アテロコラーゲンのみのスポンジと同等で、細胞侵入性・活動性は高いことが分かりました。
下の写真は、線維化アテロコラーゲンのみのスポンジ及び線維化アテロコラーゲンに熱変性アテロコラーゲンを10%添加したスポンジをラットの皮下に埋入し、3日後に取り出して組織標本としたものです。線維化アテロコラーゲンのみのスポンジ中には、好中球しか認められませんが(図A)、線維化アテロコラーゲンに熱変性アテロコラーゲンを10%添加したスポンジでは、多数の線維芽細胞の浸潤が認められました(図B)。in vivo においても、熱変性アテロコラーゲンの存在により線維芽細胞の良好な侵入が確認できました。
下のグラフは、線維化アテロコラーゲンのみのスポンジと線維化アテロコラーゲンに熱変性アテロコラーゲンを10%添加したスポンジをラットの皮下に埋入し、3、7、14、28日後に取り出して組織標本とした後、細胞数を計測した結果を表したグラフです。組織標本中の一定区画を区切って形態から細胞種を判断して細胞数を測定し、1cm2当たりの細胞数に換算しました。
線維化コラーゲンのみのスポンジ(図C)では、3日後の好中球の浸潤が単核球・線維芽細胞より多く、好中球は7日後以降消退しますが単核球・線維芽細胞は28日後まで増加しています。そのせいか、このスポンジは28日後にはほとんど吸収されてなくなってしまいました。
線維化アテロコラーゲンに熱変性アテロコラーゲン10%を添加したスポンジ(図D)では、3日後ですでに好中球浸潤数が他細胞種より少なく、その後好中球は消退してゆきました。単核球・線維芽細胞は7日後まで増加しますが、そこをピークとして数を減らす傾向が認められました。そのせいか、このスポンジは28日後にもよく残存しており、組織補填に寄与することが示唆されました。
テルプラグの把持、充填に特化した専用製品です。
本品を滅菌し使用することで清潔な状態でテルプラグの取出しや充填が可能です。内面にくぼみを付与しているため、テルプラグの形状を保持したまま操作できます。